変動金利型をお勧めする理由

ほかにも勧める理由として、購入後の金利上昇に備えられることがある。

固定金利型の国債だと、購入後の金利が満期まで変わらないため、金利が上昇しても受け取る利息は変わらない。例えば、金利が0.1%の5年固定利付国債を購入した場合、5年間で金利が0.3%まで上がっても、0.1%しか利息を受け取れない。

一方、変動金利型の国債では、半年ごとに金利が見直されるため、金利が上昇すれば受け取る利息も増える。

もちろん、金利が下落するリスクもつきまとうが、現在の低金利なら、金利が上昇する可能性のほうが大きいだろう。そのため、老後の資産運用としては、変動金利型10年満期が有利というわけだ。

また個人向け国債は、発行から1年が経過すれば国が額面価格で買い取ってくれる。そのため、国家が財政破綻しない限り、償還まで保有していれば元本割れのリスクがない。中途換金時に調整額で売却損が出る可能性はあるから、そこだけ気をつけておこう。

売却損が出てもすぐに取り戻せる

一方、新窓販国債は、国が買い取る中途換金制度がないため、換金するときは市場で売却する。金利が上昇した場合は国債の市場価値が下がり、売却損が出るおそれがある。

金利の上昇で国債の価値が下がるのはなぜか。その理由は、購入後に金利が上昇すれば、市場ではみんながより高い金利の国債を欲しがるため、低金利の国債には買い手がつきにくくなるからだ。

そもそも国債では、元本割れは大した問題ではない。売却損が出たとしても、その売ったお金で金利が上がった国債をまた買えば、損失分はすぐに取り戻せるからだ。

といっても、これはプロの投資家の考え方で、素人が手を出すなら、やはり個人向け国債の変動金利型10年満期が、身の丈に合った金融商品といえるだろう。